2009年、世界的クライマーとして知られるデビッド・ラマは、パタゴニアにそそり立つ花こう岩の山セロトーレへの登頂を決意。最低限の安全確保のために使うロープなどの道具以外は自らの肉体のみを使い、果敢に前人未到の領域に踏み込んでいく。だが、初の登頂はすぐに変化する不安定な天候に阻まれ、下山せざるを得なくなり……。
イタリアの首都ローマを取り巻く巨大高速道路GRA周辺には、さまざまな人々の暮らしが息づいている。現代的なアパートで娘と同居する老紳士や、シュロの木につく害虫の研究に没頭する植物学者、ボートで生活しつつチベレ川でウナギを釣る漁師など、そこに生きる者たちの様子が穏やかな雰囲気で映し出されていく。
大学に入学したばかりのジョシュ(シェーン・ハーパー)は哲学クラスの授業初日、ニーチェなどの無神論者を信奉するラディソン教授(ケヴィン・ソーボ)から神はいないという宣言書を提出するように言われる。単位が取れないと危惧した生徒たちは宣言書を提出するものの、納得できないジョシュだけは拒否。そんなジョシュに対して教授は、生徒たちの前で神の存在を証明して見せろと迫り……。
韓国の鬼才キム・ギドクが製作と脚本を手がけた社会派ドラマ。幸せな暮らしを送っているかに見えるが実は北朝鮮工作員による擬似家族と、その隣人であるケンカの絶えない韓国人家族。対照的な2つの家族の交流をコミカルかつスリリングに描くことで、現在の朝鮮半島における問題を浮き彫りにしていく。
「スパイ・キッズ」シリーズや「レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード」のロバート・ロドリゲス監督が、連作コミック「シン・シティ」を原作者フランク・ミラーを共同監督に招き、俳優以外はすべてCG映像というユニークな手法で映画化。
1950年代から1960年代にかけて、哀愁漂う大きな目の子供を描いた絵画「BIG EYES」シリーズが世界中で人気を博す。作者のウォルター・キーン(クリストフ・ヴァルツ)は一躍アート界で有名人になるものの、何と実際に制作していたのは内気な性格の妻マーガレット(エイミー・アダムス)だった。自身の感情を唯一表現できるBIG EYESを守るため、マーガレットは自分が描いたという事実の公表を考え……。
アフリカからフランスに来て10年になるサンバ(オマール・シー)は、料理人になるべく頑張っていた。ある日、ビザの更新に気が付かなかったことが原因で国外退去命令を受けて拘束されてしまう。サンバのためにやってきた移民協力ボランティアのアリス(シャルロット・ゲンズブール)は、以前燃え尽き症候群によって大企業を辞めたことがあったが、厳しい状況でも明るいサンバに興味を持ち……。
空想好きなお菓子大好き少女の星野ひよ子(廣田あいか)は、本気でお菓子の国のプリンセスになることを夢見ていた。ある日、彼女はいきなりドーナツ穴に吸収され、何とアニメの世界にたどり着く。その不思議な場所にはたまこちゃんという女の子とコックボーという正体不明の生き物がいて、ひよ子はすぐに彼らと意気投合して日々遊んで暮らす。
数多くの恐竜たちが生息している太古の世界。幼いティラノサウルスのトロンは、両親のゼスタとセラを亡くしてしまう。深い悲しみと孤独が押し寄せるが、彼はたった一人で生きていくことを決意する。険しい山々を越え、うっそうとしたジャングルを抜け、赤い実の収集に夢中のキラリや泣いてばかりいるメソメソといった仲間と出会うトロン。彼らと触れ合いながら、強さや勇気、友情について学んでいくが、凶悪な恐竜バルドの群れと出くわしてしまう。
「アメリ」のジャン=ピエール・ジュネ監督が自身初の3D映画として、ラルフ・ラーセンの冒険小説「T・S・スピヴェット君 傑作集」
(早川書房刊)を映画化。気持ちがバラバラになってしまった家族を元に戻そうと奮闘する、天才少年の葛藤や成長を描いた。
市江(中谷美紀)は祖母が始めた洋裁店を継ぎ、町の仕立て屋の2代目店主として日々年季の入ったミシンの前に座っている。彼女が職人技を駆使して丁寧に仕立てる洋服は、依頼人たちを喜ばせていた。職人気質の市江はブランド化の依頼にも目もくれず、その服に袖を通すたった一人のためだけのオーダーメイド服を縫うだけで幸せだったが……。
サンジン(ハン・ソッキュ)が音楽教師を務める高校に、ジャンホ(イ・ジェフン)という生徒が転校してくる。歌がうまいと評判の彼だが、家族をなくしてヤクザに育てられていることもあって素行は最悪。黒塗りの車で登校したり、子分を連れて歩く姿にサンジンはあきれる。そんな折り、彼がかつてオペラ歌手だったことから、校長はジャンホを音楽コンクールで入賞させろと迫る。その命令を突っぱね、ジャンホの歌声すらも聴こうとしないサンジン。一方のジャンホは、自分だけでコンクールに挑むが……。
1950年代のハリウッドを代表する人気女優から、モナコ公国の公妃となったグレース・ケリーが、国のために自ら成し遂げたある計画の真相を、オスカー女優ニコール・キッドマン主演、「エディット・ピアフ 愛の讃歌」のオリビエ・ダアン監督で映画化した。
パキスタン伝統音楽とビッグバンドジャズの共演を追った音楽ドキュメンタリー。監督はアカデミー短編ドキュメンタリー賞を2度受賞した
パキスタン人女性シャルミーン・ウベード=チナーイとニューヨーク在住のアンディ・ショーケン。
「南極料理人」「横道世之介」の沖田修一が監督・脚本を手がけ、山の中で迷子になってしまった7人のおばちゃんたちが繰り広げるサバイバルをユーモラスに描いたヒューマンコメディ。
登山者の4割近くが亡くなるというキラー・マウンテンの異名を持つヒマラヤ山脈のアンナプルナ。2008年5月、危険度が突出して高いこの山の南壁に挑んだスペイン人登山家のイナキ・オチョア・デ・オルツァは途中高山病に見舞われ、同行者がSOSを発信。その報を受けた世界10か国12人の登山家は、危険を顧みずイナキの救出に向けて出発した。
東京に憧れるおおらかで何事にも前向きな性格の海空(門脇麦)は、ついに一念発起して青森から上京してくる。生まれ故郷とはまったく違う大都会の風景に圧倒されながらも、彼女は懸命に毎日を過ごしていた。そんなある日、海空はふとしたきっかけで、カリスマヨガインストラクターのKUMI(道端ジェシカ)と同居することになり……。
自閉症により2歳の時に突然言葉を失った少年が、ディズニー映画を通じて徐々に言葉を取り戻していく姿を追ったドキュメンタリー。ピューリッツァー賞を受賞したジャーナリストでもあるロン・サスカインドの著書「ディズニー・セラピー 自閉症のわが子が教えてくれたこと」をもとに、アカデミー短編ドキュメンタリー賞を受賞した経歴を持つロジャー・ロス・ウィリアムズ監督が手がけた。
イタリアのプロチームで活躍していたゆうとの前に強力なライバルが出現し、より一層の向上を誓う彼は修行の旅に出る。たどり着いた地にはレジェンドと呼ばれた伝説のサッカー選手がいるらしいが、レジェンドの指導を願うも当人と出会えない。そんなとき、レジェンドを知るという地元の怪しげな老人からサッカー指導を受けることになり……。
女手一つで娘を育て上げた73歳の瀬山カツ(倍賞美津子)は頑固でおせっかいな性格のため、周りからは敬遠されがち。ある日、ふと入った写真館で写真を撮り店を出ると、20歳のときの若々しい姿のカツ(多部未華子)になっていた。カツはヘアスタイルやファッションを一新、名前も節子にし、人生を取り戻そうと決意。その後、のど自慢大会で昭和歌謡を歌ったことから……。
気に触ることがあると、ロケットに見立てたドラム缶にこもって、宇宙へと飛び立つ想像にふけるアスペルガー症候群のシモン(ビル・スカルスガルド)。そんなシモンを理解する兄のサム(マルティン・ヴァルストロム)は、恋人フリーダ(ソフィ・ハミルトン)と暮らす新居に彼を迎え入れて共同生活を送ることに。しかし、遠慮せずに自分の生活ペースを事細かく守ろうとするシモンに嫌気が差したフリーダが出ていってしまう。落ち込むサムの姿に心を痛めたシモンは、彼にぴったりでパーフェクトな恋人を探し出そうとする。
「サッカーの神様に選ばれた人間ではない」からと、中学卒業と同時にサッカーを辞めようと決めた安藤ソラ(池岡亮介)。しかし、サッカー女子日本代表の若宮四季(竹富聖花)との出会いが、ソラの心を変化させていき……。
妻に先立たれたグォは、友人チョウに誘われて老人ホームへと移り住む。ホームの入居者たちと親交を重ねるうちに、グォは彼らが家族と離れて暮らすことに寂しさを抱いているのを知り、自身も変化のない毎日を送るうちに急激に心身が衰えていくのを感じる。そんな中、チョウからテレビの仮装コンテスト番組への出場を持ち掛けられる。鬱屈(うっくつ)した思いを吹き飛ばそうと活気づくグォたちだが、ホームの職員や家族に反対されてしまう。そこで彼らは古ぼけたバスに乗り込んで老人ホームを抜け出し、仮装コンテストへと向かう。
高校入学以降、パッとしない毎日を過ごしている相原ノボル(竹内太郎)。ある日、何かと懇意にしてもらっている先輩の宮崎瞬(工藤阿須加)に呼び出され、自分の隣のクラスの生徒である百瀬陽(早見あかり)を紹介された上に奇妙な提案をされる。それは瞬が校内で抜群の人気を誇る神林徹子(石橋杏奈)という恋人がいるにもかかわらず百瀬とも付き合っているといううわさを払拭(ふっしょく)するため、彼女とノボルが期間限定で恋人同士を装うというものだった。
東日本大震災後も、栞(臼田あさ美)は茨城県日立市のプレス工場で夫(高橋洋)と共に働きながら、平凡だが満ち足りた日々を送っていた。だが、ある日、最愛の夫が作業中の事故に巻き込まれ、帰らぬ人となってしまう。その原因を作った新人の工(三浦貴大)は、一人になった栞にどれだけ憎まれようとも、ただひたすら許しを乞い続け……。
漁業と花街で栄えていたものの、今では寂れてしまった熊本県天草市・牛深町。名物のウツボを売って生計を立てる弓枝(大竹しのぶ)は、女友達であるスナックのママ・ゆり子(松田美由紀)、漁師の嫁・俊恵(西尾まり)と共に町の現状を嘆いていた。だが、男たちは九州男児のプライドを振りかざしては、働かずに酒を飲んでいるばかり。彼らに頼っていられないと、弓枝たちは築100年の元遊郭を利用し料亭や花街を復活させる計画を始動。離婚をきっかけに帰郷した春美(杉田かおる)も加わり、町おこしは進んでいくが……。